2016/03/19

マンション標準管理規約の改正(定?)

<マンションの管理の適正化に関する指針(告示)>(以下、「管理適正化指針」と言います。)
<マンション標準管理規約(局長通知)>(以下、「標準管理規約」と言います。)

 国土交通省は、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を平成24年1月に立ち上げ、9回検討会を開催した後、改正(定?)(案)を公表しました。ところが、マンション関係団体等から激しい反対に会い、2年半の休眠の後、平成27年3月にバタバタと報告書を取りまとめました。平成27年6月に改正(定?)する予定でしたが、パブリックコメントへの対応に時間を要し、平成28年3月14日にやっと公表するに至りました。

 「管理適正化指針」、「標準管理規約」とも、法律ではありませんから、絶対に守らなければならないというものではありません。しかし、今後、竣工するマンションにおいては、これを基本に、「○○○○マンション管理規約」が作成されますので、社会的影響は大きい訳です。また、既存のマンションでも、規約を改正するにあたっては、この文章を基本とするところが多くなると思われます。

 今回の改正(定?)の主な内容は、次の2点になります。
 ①役員及び議決権の選択肢を広げたこと
 ②コミュニティ条項を明確化したこと

 まず、①について、管理組合の役員(理事長・理事・監事)は、管理規約によって、区分所有者の中から選ばれることになっていましたが、第三者(外部)も就任できるようになるということです。昨今のマンション管理組合においては、役員の成り手が少なく、また、高齢化も進展していることから、役員候補の選択肢を広げたものです。外部役員のイメージとしては、弁護士・建築士・マンション管理士等の専門家、あるいは、管理会社が考えられます。
 
 前者は、中立的な専門家の立場で適切なアドバイスをしてくれるでしょうが、基本的に委託費等の支出が増えます。後者の場合は、修繕工事等において、一般的に、管理会社へ発注していますが、発注者と受注者が同一になる訳ですから、利益相反等に留意する必要があります。

 もう一つは、議決権についてです。これまでは、専有面積に応じて設定されていましたが、昨今の超高層マンションにおいては、下階と上階の価格差が大きいことから、住戸の価値割合(販売価格)に連動した設定も認めようというものです。これは、議決権のみならず、敷地の持分割合(敷地利用権)にも連動させることになります。つまり、これまでは、専有面積が同じであれば同じ議決権と敷地の持分割合であったのに対して、専有面積が同じでも、上階は下階より議決権も敷地の持分割合も大きくなるということです。

 マンション管理組合からすると、区分所有者間がギクシャクするようになるのではないかと心配になりますが、国にとっては、相続税の対象範囲が広がり、税収UPとなる可能性が大なのです。(国の目的は、これです!)
 
 富裕層が、相続税対策として、高額な超高層マンションの上層部を購入していることも事実のようです。相続税の評価額は、建物と土地を合せたものになりますが、超高層マンションの上層部においては、購入時は超高額であっても、敷地の持分割合が小さいので、相続時の評価額はぐっと安くなります。同じマンションで同じ専有面積であれば、購入したときの価格が倍ほどの差があっても、相続税の評価額は同じなのです。従って、節税対策となる訳です。

 マンションの販売価格は、建物の価格に日照と眺望の代価+敷地の持分割合(敷地利用権)を合算したものとなっています。従って、敷地利用権に日照権や眺望権の代価がプラスされることは大いに問題であり、それがマンション管理の議決権にまで及ぶというのは釈然としません。日照権や眺望権も相続税の対象とし、マンション管理は、あくまで所有する専有面積に応じて分担するのが正論のように思います。税法上難しいのでしょうか?財務省の見解を伺いたいものです。

 ②については、良好なコミュニティの形成は、マンションにおいても、日常的なトラブルの防止や防災・防犯などの観点から重要ですので積極的に取り組むようにと、至極当たり前のことを明文化しました。ただし、一部のマンションで問題化しています「町内会費」や「祭りの寄付金」など、マンション管理とは一線を画すべきものには、適切に運用するよう注意を促しています。(町内会費や祭りの寄付金をマンション管理費から拠出したため、区分所有者から訴えられ、裁判で負けたという判例があります。)

 以上、第三者の役員就任や敷地権割合の見直しなど、問題となりそうな改正(定?)となっておりますので、今後とも、注視して行きたいと思っています。

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