2015/06/29

新国立競技場建替え騒動(1)

<取りあえず決まった?東京五輪メイン会場>

 6月29日、東京五輪のメイン会場で8万人収容する新国立競技場の建替計画が文科相から発表されました。

 「国際コンペで選定されたザハ・ハディド氏(英国)による流線形の奇抜なデザイン(2本のキール・アーチ構造による開閉式屋根)は堅持するものの、床面積の縮小と1.5万人分の座席の仮設化等により建設費を下げる。その結果、工費は、コンペ時予算の1300億円を大幅にオーバーしていた前回積算時の3000億円超から、屋根工事を除いて2520億円に下げる。そのうち500億円は東京都に負担してもらう。残りの1000億円超は、民間からの寄付や命名権の売買とスポーツくじで賄う。屋根は工期に間に合わないため五輪終了後に設置する。」という、予算も工期も大変危うい内容でした。

 実際の工費は、五輪後設置する屋根まで含めると最終的には3000億円近くになるのではないでしょうか。先のロンドンや北京五輪のメイン会場は1000億円を超えていませんから、如何に新国立競技場の工費が高いかです。資材の高騰を理由に挙げていますが、震災復興で建設費が高騰することはある程度予測ができたはずです。また、五輪後の維持管理費も甘い試算をしています。年間9回ものコンサートを設定していますが、5万人以上のイベントが現在の日本でそんなにあるでしょうか?逆に、あるとしたら芝生の管理ができないでしょう!結局、毎年、赤字の維持管理費が将来の負担となるわけです。

 工期についても、屋根の設置を五輪後にして何とか前年のラグビーワールドカップまでギリギリセーフと言ったところです。しかし、屋根はコンサートのためだけでなく、東京五輪開催中も、騒音・光害防止のため必用だと思います!昔であれば、ゼネコンと政治家・官僚が一体となってうまく調整ができたのでしょうが、現在では、公共事業が大幅に削減され、かつ、グローバル化の波にさらされているゼネコンには、何が何でも国に協力するという意識はありません。

 この施設は、当初から迷走の連続でした。国の財政悪化や震災復興、あるいは、東京五輪がIOCに訴えてきたコンパクト化と低コスト化の手前、イメージを良くするため、当初は「改修工事」と言い、現在でも「改築工事」と言っています。建築の専門家なら誰でもわかりますが、この計画は、建築基準法上「改築」ではなく「新築」とみなされます。また、コンペでこのデザインを選定したときから予算オーバーになると多くの専門家が言ってきましたが、ずつと先送りにしてきました。民間の寄付や競技場の命名権とスポーツくじでも到底無理とわかっていながら認めようとしなかったのです。過去の箱物行政のときと何ら変わりません。 
 
 また、この規模とデザインは、日本初の風致地区である明治神宮外苑の景観にふさわしくないとの理由から、槇文彦氏はじめ多くの著名な建築家が見直しを訴えてきました。絵画館前通りの銀杏並木が嘆いています!しかし、その声には耳を傾けることなく突っ走ってきた結果、世界からも批判されるような計画になったのではないでしょうか!やはり、統治する側の勝手な論理で国民を欺こうとする明治からつづく官僚機構の悪しき体質がここでも見られます。戦後70年になりますが、「お上」意識と中央集権を手放せない官僚体質が大きな要因と思われてなりません。本来、公共事業は、もっと広く国民の意見が反映されるべきものです。残念ながら、日本は国民主体の真の民主国家には、まだまだ遠いようです。

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