2015/06/07

マンションの空き駐車場対策

<増加するマンションの空き駐車場>

 近年、急速に進む自動車離れに伴って、マンションに付帯する駐車場でも“空き”が一層目立つようになってきました。そう言う私も2年前に車を手放し駐車場を解約したうちの一人です。大半のマンション管理組合が駐車場使用料を管理費や修繕費に充当しているため、空き駐車場問題は多くの管理組合の悩みの種となっています。
 また、駐車場使用料は、売主が新築時に定めており、当然、管理費・修繕費を低く抑えるため駐車場使用料を高めに設定する傾向にあります。そのため、空き駐車場は管理組合にとってより大きな収入減となり、組合運営への影響が大なのです。結果、管理費を値上げせざるを得ないマンションが出てきています。

<マンション駐車場の外部貸出しの課題>

 そこで、空き駐車場を有効に活用しようとするのは自然の流れですが、ここで法人税が立ちはだかります。マンションの駐車場の多くは、居住する組合員又は賃借人を対象(内部使用という)とする共済的事業として運営していることから、収益事業とはみなされず非課税となっています。ところが、外部に貸し出す(外部使用という)と、その事実関係によっては全駐車場が課税対象となり得ることもあり、事前の確認と準備が必要となります。

 そのため、国交省の答申に対して国税庁は、平成24年2月13日付で、「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」と題して、回答事例を国税庁ホームページに公開しています。収益事業に該当する場合と、収益事業に該当しない場合の例示を行っており、マンション駐車場の外部使用が行われている場合に多いと想定される3つのモデルケースについて、法人税法上の取扱いの例を示しています。ただし、個々について、所管する税務署への確認が必要であるということは言うまでもありません。

<マンション駐車場外部使用の税法上の取り扱いイメージ>

駐車場を外部使用させるには、以下の点が前提条件となります。
 ・マンションの管理規約が、区分所有者以外の外部の者に対して使用させることがが可能となっていること。
 ・外部使用による収益は、マンション管理費または修繕積立金に充当し、区分所有者へは分配しないこと。

ケース①(全部収益事業)
 ・募集は広く行い、使用許可は区分所有者であるかどうかを問わず、申込みなどの順とする。
 ・使用料金、使用期間などの貸し出し条件において、区分所有者と非区分所有者と差がない。
⇒もはや市中の有料駐車場と変わらず、共済的な事業とは言えない。
結果:非区分所有者の使用のみならず区分所有者の使用を含めた駐車場全体が駐車場業として収益事業とみなされる。

ケース②(一部収益事業)
 ・区分所有者の使用希望がないときにのみ、非区分所有者に募集を行い、申し込みがあれば許可をする。
 ・貸し出しを受けた非区分所有者は、区分所有者の使用希望があれば、早期に明け渡す必要がある。
⇒区分所有者の共済的事業と余剰スペースを活用する事業を行っている。
結果:区分所有者の使用は共済的事業(非収益事業)で、余剰スペースを活用した事業のみ収益事業(駐車場業)に該当する。

ケース③(全部非収益事業)
 ・区分所有者の希望使用がない場合であっても、非区分所有者に対する積極的な募集は行わない。 
 ・非区分所有者から申し出があり、空き駐車場があれば、短期的な非区分所有者への貸し出しを許可する。
⇒臨時的かつ短期的な貸し出しに過ぎず、非区分所有者への貸し出しは独立した事業とは言えない。

 つまり、ケース①及び②に該当する場合は、例え管理組合が人格なき社団(非法人)であっても、法人税の納入義務が発生し、法人税、法人住民税、法人事業税等が課税され ます。所得金額によって納税額は変動いたしますが、利益に対し実効税率約35%を乗じた額が納税額のひとつの目安になると思われます。(収入が少ないと税率は上がります。)勿論、維持管理等に要する費用や税理士の費用等も経費として計上できます。

<例えば、18,000円/月×1台の場合>
収入=216,000 経費=10,000 の場合
法人税=37,000 法人住民税=76,400 法人事業税=9,900
合計税額=123,300(59.8%)

<例えば、18,000円/月×2台の場合>
収入=432,000 経費=10,000 の場合
法人税=75,900 法人住民税=82,900 法人事業税=20,400
合計税額=179,200(42.4%)

<例えば、18,000円/月×4台の場合>
収入=864,000 経費=10,000 の場合
法人税=153,700 法人住民税=96,400 法人事業税=41,600
合計税額=291,700(34.1%)


 また、基準期間(前々事業年度)の収益事業売上高が1,000万円を超える場合は、消費税等も課税されます。

<申告漏れ指摘に注意>

 数年前から、携帯電話基地局(アンテナ)設置料に対する法人税の申告漏れが摘発される例が相次いでいることや、上記の国税庁の見解が明確になったこともあり、収益事業にあたる駐車場についても納税意識を変えなければなりません。収益事業と判断されるもので申告漏れを指摘されると、過去5年分を遡って納め(租税債権の消滅時効は5年)、無申告加算税や延滞税などを課される恐れがあります。

 また、財務会計ばかりに固執するあまり、反社会的勢力等の介入を許しては元も子もありません。契約において、個人を特定できる公的証明書の提出等を条件とすることも重要だと考えます。
 
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