2015/05/03

マンション標準管理規約改定案が波紋を広げている理由(3)

<「第三者管理」導入の必要性>

 マンションでは、総会において選任された理事(区分所有者)で構成される理事会は、一部の管理業務については委任されていますが、事業(修繕・改修等)計画案や予算案などについては、それらの議案を総会にかけて決定します。国交省の「マンション標準管理規約」においてもこのことを前提として規定しています。

 しかし、高度経済成長期に大量供給されたマンションの老朽化が進行するとともに、区分所有者の高齢化や賃貸化・空室化が進んだ結果、臨時の修繕への適切な対応や計画的な大規模修繕、耐震改修あるいは建替えなど、専門性や多額の資金を要する工事が増加しています。 
 一方管理組合では、役員のなり手不足や、管理費・修繕積立金等の資金不足の問題に直面しています。

 また、新築においても、高層化・大規模化などが進み、より高度で複雑な管理が求められるとともに、マンション管理に無関心な区分所有者も増えており、老朽化マンションと同様に役員のなり手不足が問題化しています。

 このような状況を踏まえて、今回の「マンション標準管理規約」改定の主題の一つとなったのは、役員のなり手不足や専門知識不足解消のための「第三者管理」の導入についてでした。資産価値の維持向上や最大化に熱心なマンションにおいて、役員の資格要件(区分所有者)を見直し、外部の専門家(第三者)の活用に道を開くというものです。
 
 現在の標準管理規約においても、専門家の活用を可能としていますが、これは理事および区分所有者等へのアドバイザーとしての役割で、組織外の立場でしかありません。
 しかし、今回の検討では、外部の専門家を管理組合の組織内に取り込むことを可能とするもので、検討会の報告書では、外部の専門家の適格性の担保と利益相反取引の防止や業務執行のチェック体制などの整備を条件として活用を認めるとしています。
 以下に、報告書に書かれている専門家の活用パターンを整理しました。

<想定される外部専門家の活用パターン>

①理事・監事外部専門家型または理事長外部専門家型
 これは、区分所有者以外の第三者が理事会の役員に就任できるよう規約を改定し、区分所有者の専門知識不足や理事のなり手不足を補うことを目的としています。

②外部管理者理事会監督型
 区分所有法では、管理者が共用部分等の維持管理を行うと定めていますが、管理者の資格については不問で、規約において、区分所有者が就任できる理事長を区分所有法上の管理者と定めているだけです。
 そこで、規約を改定して、理事長以外の外部専門家が理事長に代わって管理者に就任できるようにし、理事会はこの外部管理者の監督(チェック)のみを行うというものです。
 つまり、管理者=理事長から、管理者=外部専門家となり、理事会に代わって外部管理者が、一部の管理業務を行うほか事業計画案や予算案などを策定し、理事会は外部管理者を監督する機関へと変貌することです。

③外部管理者総会監督型
 これは、比較的規模の小さいマンションを想定したもので、②の「外部管理者理事会監督型」をさらに推し進め、理事会を廃止し、外部管理者がそっくり理事会の役割りを担うというものですが、従来通り、総会で全て決定されることに変わりありません。

 ①よりも②、②よりも③と、より外部専門家への依存度が高くなるパターンが想定されていますが、従来通りを含めて大きく4通りの中から、それぞれのマンションに合ったものを選択しなさいということだと思います。ただし、①~③の場合は、外部専門家に委託する以上、それに見合った報酬に対する支出は覚悟しなければなりません。

 そのほか、管理者の適格性についても、規約に役員の欠格要件の規定を設けることが必要になると思います。また、管理会社が管理者となる場合など、管理組合と管理者で利益が相反する取引(契約)が発生するときの対処方法についても、規約に定めておかなければなりません。管理者が管理組合から工事を請け負う場合など、お互いの利益が相反するからです。

 次章は、「価値割合」の導入について書きます。

 
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