2015/05/03

マンション標準管理規約改定案が波紋を広げている理由(2)

<コミュニティ活動条項とは>

 「マンション標準管理規約」の改定が今年6月にも実施される見通しとなり、その一つとして、「コミュニティ活動条項」の削除というものが含まれています。「マンション標準管理規約」は、2004年にそれまで「中高層共同住宅標準管理規約」と呼ばれていた名称を「マンション標準管理規約」に変更して大幅な改定が行われました。この時に、日常的なマンション内トラブルの未然防止や大規模修繕工事の円滑化にプラスになるとして、管理組合の業務の一つに、「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」という条項が加えられました。これが、「コミュニティ活動条項」です。

 ところが、マンション全体で自治会に加入し、理事長の自治会出席や管理費から自治会費の支払いを行っている管理組合は多くありますが、「管理費から自治会費を支払うことは、目的外支出で違法である。」との平成19年東京簡易裁判所の判例により、現在ではマンション全体で自治会に加入することが難しくなりました。もちろん、個人的な自治会への入会・退会は自由です。

 私たちのマンションでも、大災害が発生した場合に避難所での待遇や緊急支援物資の配給などで不安を感じると訴える人がいて、自治会への加入を検討しましたが、自治会側はマンション全体での加入を要望しており、会費は個人負担であることから強制できないため、未だ加入していません。
 
(余談ですが、私が住む地域では、防犯灯の維持管理を自治体(横浜市)ではなく自治会が行っていて、住民全員が加入していない自治会が負担していることに不合理さを感じています。市はなぜ管理しないのでしょうか?)

 それからマンションによっては、管理組合主催(費用は管理費から支出)による忘年会や餅つき大会など、マンション居住者間のコミュニティ形成のためイベントを開催しているところがあると聞きますが、これも、前述の簡易裁判所の判例より目的外支出で違法ということになるのではないかと思います。

(私たちのマンションでは、ときどき女性陣が個人的に声をかけあって「お茶会」を開催し、理事会や総会などでは言いにくいことを率直に話し会って親睦を深めています。皆さんでお茶・お菓子を持ち寄っていますので管理費からの支出はありません。)

 しかし、阪神淡路大震災・東日本大震災を経験して、「地域・居住者間コミュニティ」は円滑なマンションの維持管理などに欠かせないものと多くのマンション居住者が感じていると思います。それまでは、「秋深し隣は何をする人ぞ」の俳句のように孤独さを好み、近所付き合いが苦手という人も少なくなかったようですが、少し変わったように思います。私も、近所付き合いが苦手でマンションを選択したうちの一人でしたが、昨今は、同じマンション居住者の方との付き合いも大事にしています。

<見解の相違>

 国交省は、「管理組合がコミュニティ活動を行うことは、任意加入の自治会への強制加入につながり、管理費から自治会費を支払うことは、簡易裁判所での判例が出ていることを理由に目的外支出で違法である。」としています。つまり、管理組合のコミュニティ活動がマンション内の内紛訴訟につながるとの認識です。
 一方、、実際にマンション管理の現場で活動している管理組合や管理会社等の団体は、「管理組合のコミュニティ活動は、円滑なマンション管理や大規模修繕工事等において欠かせない業務である。」として国交省との考え方と真っ向から対立しているわけです。

 検討会では、「区分所有者間の論議や内紛、訴訟等の法的リスクが回避されるよう、自治会活動と管理業務とを分けて整理さえ講ずれば、自治会活動は、合意形成の円滑化や資産価値向上につながる効果もあり得るため、積極的に展開すべきことを、標準管理規約コメントや適正化指針で示すことが適切ではないか。」と提言していますが、その真意がよくわかりません。管理組合とは別の組織をイメージしているということでしょうか?

 現時点では、「地域・居住者間コミュニティ」が益々重要性を増している現状から判断して、マンション管理組合の業務からコミュニティ活動を削除することは時代に逆行するのではないかと思います。

 では、次章は、今回の改定の主題の一つである「第三者管理」の導入について書きます。

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