2012/03/27

区分所有法の経緯(3)-平成14年の改正

<平成14年(2002年)の改正>

 マンションの管理をめぐって居住者間のトラブルや紛争が増加し、問題点が表面化してきました。また、平成7年に発生した阪神淡路大震災によるマンションの建替えにおいて、区分所有法の不備が指摘され、以下のような大改正が行われました。

(1)管理に関する改正
①共用部分の変更
 共用部分の変更のうち大規模修繕も含めて、形状または効用の著しい変更を伴わないもの、つまり、建物の基本的な構造部分を壊さずに行う変更については、費用の多少にかかわらず、普通決議(各過半数)で実施できるよう緩和しました。

②管理者等の権限の拡充
 管理者(理事長もしくは管理組合法人)は、共用部分等(共用部分並びに建物敷地及び共用部分以外の区分所有者の共有に属する付属施設)について生じた損害賠償及び不当利得による返還金の請求や受領に関して、区分所有者を代理し、また、規約または集会の決議により区分所有者のために原告または被告となることができることを明文化しました。
 これは、それまで各区分所有者が持分割合に応じて権利を行使するとしていた曖昧な表現を、管理者が各区分所有者を代理して、一元的に管理できることを明らかにしたものです。

③規約の適正化
 規約は管理組合の最も基本的なルールを定めたものですが、中には、一部の区分所有者に有利な内容が入れられるなど著しく不均衡なものも見受けられ、区分所有者相互間や、区分所有者と分譲業者間の争いの原因となるケースがありました。
 そこで、規約は、専有部分もしくは共用部分等について、区分所有者間の利害の衡平が図られるように定めなければならないことを明文化しました。(国土交通省では、「マンション標準管理規約」を公表、推奨しており、多くのマンションが、これを基にそれぞれのマンションに合った規約を定めています。) 

④管理組合の法人化の人数要件の撤廃
 従来は、区分所有者の数が30人以上の管理組合が法人格を取得できましたが、今回の改正では、区分所有者の人数を撤廃(実質2人以上)し、一定の条件を満たす管理組合は、法人格を取得できるとしました。
 しかし、管理組合の理事長は、一般的に毎年交代しているところが多く、その都度、変更登記するのは負担になることから、法人化しない組合が多いようです。

⑤規約・議事録等および集会・決議の電子化等
 IT時代に相応して、規約や集会議事録を磁気ディスク、磁気テープ、フロッピー・ディスク、CD‐ROMなどにより作成することを認めました。また、集会における議決権についても、電子メールなどで行使できるとしました。
 ただし、実施するためには、規約の改正ほかIT関連の環境整備が必要となります。

⑥復旧手続の改正
 建物の一部滅失の場合のうち、建物の価格の1/2を超える部分が滅失したとき(「大規模滅失」と言います。)の復旧手続を一部改正しました。買取請求が特定の者に集中するという不都合があり、買取指定者制度および再買取請求制度を創設しました。また、買取請求権の行使期限が定められていなかったため工事開始後に行使されるなどの不都合があったため、行使期限を定めました。

(2)建替えの円滑化に関する改正
①建替え決議の要件の緩和(過分費用要件、同一敷地・同一用途要件廃止)
 従来の建替え決議には、区分所有者および議決権の各4/5以上の賛成多数に加え、「建物がその効用を維持し、又は回復するのに過分の費用を要するに至ったとき」という要件を付けていましたが、今回の改正では、この曖昧な要件を削除しました。
 また、従前は、建替える場合、既存の敷地と同一の土地に建築することを要件としていましたが、この「敷地の同一性」の要件を緩和し、従前と一部でも重なっている土地であれば良しとしました。
 例えば、敷地に余裕があるケースでは、建替え費用捻出のため敷地の一部を売却することや、逆に規模の大きな建物に建替えるため敷地の買い増しを行うことができるようになりました。
 さらに、従前は既存の建物と主たる用途が同一でなければならないとしていましたが、この要件も廃止しました。
 その他、「建替え決議」の招集通知発信時期や招集通知記載事項の追加、説明会開催の義務付けなども改正されました。

②団地内建物の建替え承認決議
 従来は、複数の区分所有の建物が敷地を共有する団地において、そのうちの特定の区分所有の建物が建替えを行う場合でも、「民法」により、敷地共有者全員の合意が必要とされていました。しかし、現実的に敷地共有者全員の合意を得ることは不可能に近く、不合理との指摘があり、法改正が行われました。
 団地内にある数棟の建物の全部又は一部が区分所有の建物であり、かつ、その区分所有建物の所在する土地を団地建物所有者が共有している場合には、一部の区分所有の建物を建替えるとき、その団地建物所有者で構成される団地管理組合の集会において、議決権の3/4以上の賛成多数による「建替え承認決議」があった場合には、建替えが実施できることとしました。もちろん、これらの各建物の管理組合において、建替え決議(区分所有者及び議決権の各4/5以上)が前提であることは言うまでもありません。

③団地内建物の一括建替え決議の制定
 団地内の建物が全て区分所有建物であり、かつ、敷地をその団地内の建物の区分所有者が共有している場合で、しかも、各々の団地内建物を団地全体で管理するという規約が定められている場合には、団地管理組合の4/5以上の賛成多数で、一括して団地内建物の建替えを行うことができるとしました。ただし、その集会において各団地内建物ごとに、区分所有者の2/3以上がその一括建替え決議に賛成していなければならないという二重の縛りをかけています。

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