2012/03/29

区分所有法の経緯(1)-制定時-

<区分所有法の経緯>

 「区分所有法」は、昭和37年(1962年)に制定された比較的新しい法律です。日本では、それまで集合住宅と言えるものは※棟割長屋(むねわりながや)しかなかったため、法律まで必要なかったのです。

※棟割長屋(むねわりながや)とは、1棟を垂直方向に区分し、壁を共有しますがそれぞれが独立した集合住宅のことを指します。各住戸には直接道路に接して玄関があり、他の住戸と共有しない構造となっています。時代劇などによく出てくる長屋をイメージしてください。近年で言えば、タウンハウスに似た構造とも言えます。

 その棟割長屋時代は、民法旧208条(現行は削除)の1カ条があったに過ぎませんでした。第1項に「共用部分は区分所有者の共有に属すると推定する。」とあり、第2項に「修繕費等の負担は各自の所有部分の価格に応じて分担すべきものとする。」とあっただけでした。

 しかし、戦後の経済成長に伴いビルが建築されるようになり、1棟の建物を垂直と水平の両方向に区分して、それぞれを所有権の対象とする中高層分譲共同住宅(いわゆる※マンション)が建築されるようになりました。また、1棟の建物の中で多数の世帯が共同で生活するようになったため、民法の一カ条で規律することが困難になったのでした。そこで、民法旧208条に代わって、民法の特別法として「区分所有法(マンション法)」が制定されました。
※当ブログ内専門用語「「マンションとは」をご覧ください。

<制定された当初の区分所有法>

(1)専有部分と共用部分
 1棟の建物を「専有部分」と「共用部分」とに分けて、「専有部分」の所有権を「区分所有権」とし、「共用部分」を区分所有者全員の共有としました。これは現在でも変わりません。

(2)共用部分の変更と管理
 「共用部分」の変更は、区分所有者全員の合意により、その管理は持分の過半数の決議によるとしました。区分所有者全員の合意がなければ共用部分の変更が出来ない点が非現実的でした。(※変更と管理の違いにご注意ください。)

(3)管理規約
 管理規約の制定、変更または廃止は、区分所有者全員の署名押印により定められるとしました。これも共用部分の変更と同様に非現実的で厳しい制度でした。

(4)集会の決議
 集会の議決権は、専有部分の床面積の割合で決まる持分割合によるとしました。これは、基本的に現在も変わりませんが、規約で特段の定めをすることは可能です。

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