2012/04/04

スーパー「ライフ大倉山店」建築反対闘争記録(4)

<法の盲点を突いた建築計画>

 建築関係法の検証(接道義務)から、本来、この敷地には、店舗(商業施設)は床面積が500㎡までしか建てられず、4,000㎡を超える大型商業施設は到底無理なのです。では、ライフは一体何をどうしようとしているのでしょうか?

  私も、段々本気になってきてライフの小さな図面をよくよく睨みました。すると、確保した敷地は約9,700㎡と広大であるにもかかわらず、わざわざ4分割し、その一つは平置き駐車場とし、残りの三つの敷地にそれぞれ1棟づつ建てようとしていることに気づきました。そして、次のようなカラクリがわかったのです。

 本来ならば、一体的に運営(専門的には、「用途上不可分の関係」と言います。)する複数の商業施設は、一つの建築物として建築確認を申請することが認められています。また、そうするのが一般的です。
 その理由は、敷地と建物を分割して個別に申請すると、お互いの敷地と建物が影響しあって法規制に抵触する場合がありますが、一体的に管理される施設であれば、法は、一つの建築物として取り扱っても、安全上問題がないと認めているからです。

 また逆に、一体的に運用する商業施設等の集客施設の場合は、一つの建築物として申請しなければ、この施設に必要な道路が確保されているかどうか正しい判断ができなくなります。集客施設においては、不特定多数の来場者があることから、交通が錯綜するのを回避するため、また、緊急時の避難経路や救助活動、消火活動のため、規模に応じて接する道路の幅員と長さが定められているからです。

 従って、ライフのように一体的に運用するにもかかわらず、建築基準法の「一敷地一建築物の原則※3)」を逆手に取って、個々に確認申請が出されると、施設規模に応じて規制している接道義務が無視されることになります。そして、交通環境や緊急時の安全が確保されていないにもかかわらず、建築確認が下りてしまうのです。ですから、このやり方は法の盲点を突いたものであり、法の精神を無視した自己中心的な計画と言わざるを得ないのです。

 しかも、接道条件をクリアするために、埋もれていたまぼろしの私道(建基法42条1項3号※4))まで接道として復活させるなど、個々の施設とした場合においても危うい計画なのです。また、横浜市よりも厳正な東京都の条例(接道条件)では、この方法を用いても建てられないほど、道路環境が整っていない地域に無理やり出店しようとする計画なのです。専門家として、ここまでやらなければならなかった設計者のことを考えると、やりきれない複雑な気持ちになりました。

※3)「一敷地一建築物の原則」については、後の「つづき」に詳しく書いていますのでご覧ください。これらの建築関係法は、専門家でも難しいところです。
※4)建築基準法 第42条 第1項 第3号⇒建築基準法施行時(昭和25年)に存在していた幅員4m以上の道路(私道)を、建基法上の道路に指定
 
 ライフ計画図3敷地3建築物(可-不可)2

 



[つづき]
■グレーの建築計画について詳しく説明します!

<「一敷地一建築物の原則」の落し穴>

 建築基準法では、原則として、一つの敷地には一つの建築物しか建てられません。(「一敷地一建築物の原則」と言います。)一つの敷地に2棟以上建てるときは、その敷地を棟数分に分割しなければなりません。しかし、〇〇工場などのように、密接な関係(「用途上不可分の関係」と言います。)にある事務所棟・倉庫棟・工場棟などを一体の施設として建てる場合には、複数棟あっても敷地を分割することなく、一つの敷地に一つの建築物として建てることが認められます。(社員寮などは認められません。)敷地を分割するとなると、お互いの敷地と建物が影響し合って、いろいろな法規制に抵触して建てられなくなる場合があります。しかし、一体的に使用し管理される工場などの場合は、安全上問題がないとの判断から、一つの建築物として認められているのです。

 また、ショッピングセンターにおいても、複数の商業施設が駐車場等を共同利用するときなどは、同様に一つの建築物として認められます。(当然、建築主も管理も同じでなければなりません。)このときも、工場のときと同様に、敷地を分割すると法規制に抵触して建てられない場合があります。

 そのため事業者は、でき得る限り一つの建築物として建築確認を申請しますが、役所(「特定行政庁」と言います。)では、本当に用途上不可分の関係なのか、単独でも成り立つのではないかと施設相互の関係を厳しくチェックします。

 ところが、その逆の場合があります。例えば、郊外のショッピングセンターなどの大規模集客施設において、都市計画法等により面積規制している場合、一体的に運営するにもかかわらず、面積規制を潜り抜けるため、あえて敷地を分割し、個別に建築確認を申請する事業者がいます。この場合は、複数の商業施設が密接な関係(用途上不可分の関係)にあることが明らかでも、「一敷地一建築物の原則」から、単独の建築物として審査せざるを得ないのです。つまり、、建築基準法上の「一敷地一建築」が、都市計画法等で定めた面積規制の足を引っ張っているのです。

 そこで、国土交通省では通知を発して、大規模集客施設等の面積規制をしている地域において、用途上不可分の関係にある商業施設などは、一つの建築物として取り扱うよう自治体の長に技術的助言を行っています。しかし、ほとんどの自治体で実行されておらず、事業者のコンプライアンスに委ねられているのが実情のようです。

 スーパー「ライフ大倉山店」の建築計画もこれと全く同じ手法なのです。ライフの場合には、郊外における大規模集客施設の面積規制ではありませんが、商業施設の接道義務を潜り抜けるため、同様の手口を用いているのです。つまり、建築基準法上の確認申請は法令遵守であっても、大型商業施設を規制している都市計画法や横浜市建築基準条例には明らかに違反しているのです。私たちは、ライフコーポレーションの企業倫理やコンプライアンスに訴えましたが、残念ながら、ライフは私たちの期待に反して企業の利益を優先したのです。

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