2019/07/29

今回の「京アニ放火事件」に関して一言


防火区画竪穴区画

 建築基準法では、建物が火災になった際、火炎や煙・有毒ガスなどが延焼、充満するのを防ぐために、室が一定の面積以下となるよう、また、その部分(室)の用途に応じて水平に区画(防火区画という)するよう定められています。
 また、炎や煙は凄い勢いで吹き上げられることから、階段や吹き抜け(竪穴という)などでは、その他(室)の部分とタテに区画(竪穴区画防火区画の一種)という)することも義務付けられています。竪穴区画することは、他階への延焼を防ぐうえで重要な効果があります。

防火区画は逃げるための時間かせぎ!

 これら防火区画の目的は、建物内に残された人々が逃げるための最低限の時間かせぎのために、延焼や煙・ガスの拡散を遅らせるためのものです。
 つまり、平面的には、面積や用途に応じて防火区画し、階段などの部分は、その他(室)の部分と竪穴区画しているのが一般的なビルの構造です。

緩和免除は、ときに人命を奪う!

 当然のことながら、これらの法規制にも国民の経済的負担を軽減するために緩和免除の規定があります。竪穴区画が必要な建物は、「主要構造部である(壁・柱・床・梁・屋根・階段)を準耐火構造とした建築物、及び、それに準ずる特定避難時間倒壊等防止建築物のうち、地階又は3階以上の階に居室がある建築物」と条件が付けられていますので、それ以外の建築物は、竪穴区画しなくてもいいということになります(免除)。

 したがって、たとえ鉄筋コンクリート造3階建のビルであっても、これらに該当しなければ、また、その他の法規制にも抵触しなければ、竪穴区画が免除されることになります。おそらく、「京アニ」第一スタジオも、これらに該当しない「ロ準耐火建築物」であろうことが推察されます。

 この「ロ準耐火建築物」は、主要構造部を不燃材料で造り、屋根材に類焼に強い材料を使用する構造です。つまり、他所からの火災(類焼)には一定の防火性能を備えていますが、内部からの火災には脆弱と言われている構造です。

 今回の「京アニ」第一スタジオの場合も、内部からの放火のため、竪穴区画されていない2階・3階へ火炎や煙・有毒ガスが一気に上昇し、上階ほど犠牲者が多くなったのではないかと想像されます。

建築基準法は最低限の基準!

 建築基準法は、最低限の基準を定めたものであり、この法をクリアしているからといって残念ながら命が守れるわけではありません。まして、今回のようなガソリンを使った残忍で残虐な放火(テロ)事件などには無力としか言いようがありません。

法の上を行くリスクマネジメントが必要不可欠!

 勿論、このょうな事件を起こした犯人が最も許せないのは言うまでもありません。また、揮発性の高い危険なガソリンが、いとも簡単に購入できたことも疑問ですが、何と言っても、事業主のリスクマネジメントが必要不可欠であると痛感させられました。

建築家は建築主と建物の評価(定量化)を共有

 そのためにも建築家は、建物の機能やデザインを提案するだけでなく、小規模の建築物であっても、火災や地震などいろいろなリスクに対する建物の評価(定量化)を事業主と共有する必要があると思います。もし、火災発生時の避難に対する評価がなされていれば、ここまでの犠牲者が出なかったのではないか・・・?残念でなりません!

火災による死者の数は増加傾向!

 ニュースを見ていて気になることの一つに、火災が発生するたびに必ずと言っていいほど死者が出ます。また、その数は増加傾向にあり、火災の発生件数そのものは変わっていませんが、新建材、装飾材、衣類、家具調度品等が石油化学製品を原料としているものが多いため、ひとたび火災が起きると、それほど大きくなくてもこれらから発生される煙や有毒ガスによって先に意識を失くし、死を招くケースが多いようです。

建築関係法を守っているだけでは命は守れない!

 建築関係法を守っているだけでは、従業員や家族の命を守ることはできないということだけは、肝に銘じていただければと思います。

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